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カーボンを使用した電波吸収体の開発

カーボンを使用した電波吸収体は、電磁波誘導効果による電波吸収、キラル物質特性により高い周波数帯域での電波吸収作用で注目を集めています。

ここでは、カーボンをつかった電波吸収体の開発における主要なトピックをあげています。

カーボンナノチューブ(CNT)の応用

カーボンナノチューブ(CNT)は、炭素原子のみで構成されるナノ炭素材料で導電性を持ちます。

電波吸収体のような成形品には、電磁波しゃへい性を期待できます。炭素繊維の含有率に電磁波しゃへいせいが比例するため、電波吸収性能を高めるには含有量を増やして厚みを持たせる必要があります。

軽さとのかねあいで、設計のゆるす範囲で必要なしゃへい率を得るために各メーカーが開発に力を入れている素材です。

また、CNTは対象軸をもたないキラル構造を持つ形状をしているため、電磁波の入射時に電束密度と磁束密度を増加させ、電界と磁界エネルギーを熱変換します。高い周波数帯でとくに特性があらわれるため、高い周波数帯域に対応している電波吸収体に採用されているケースが多いでしょう。

また、機械的特性から屈曲性が高くて変形に強いという特性も持ちます。軽くて柔軟性があることから、応用が利く素材として注目されています。

グラフェンの活用

グラフェンは、シートの形状をしたナノカーボンのことです。

CNTと同様に電気伝導性が高いうえに、熱伝導性や潤滑性、電磁波吸収性もあり、各メーカーが技術を応用して製品開発を行っています

六員環構造を持つグラフェンは、電動電子と価電子帯が得対象な円錐形をしており、エネルギーと運動量が線形な関係にあります。

伝導帯の自由電子と価電子帯の正孔は、電荷の極性が判定した完全対称となっているので、光のような相対論的量子としてふるまい、電波をあたえられたときに電子・正孔対を作成し光学フォノンを放出してエネルギーを失います。

光学フォノンは極めて大きなエネルギーのため、電子・正孔の再結合などにより遷移エネルギーが生まれ、発光したフォトンの周波数がテラヘルツ帯なら、テラヘルツ帯のフォトンを発行できます。

つまり、テラヘルツ帯に対応する電波吸収体として活用することが可能です。

カーボンブラックとその複合材料

カーボンブラックは炭素主体の微粒子で、電波吸収体にも使用されます。特に、カーボンブラックは入手が容易で、コストが安いという特徴があります。

電波吸収体としてはもちろん、電波吸収体をつくる材料を製造するためにも用いられており、開発が進められている材料です。ラストマー複合材料を作成するためにも使われるため、幅広い用途で使用できます。

導電性があるため、天然ゴムなどの材料を入れることで電気抵抗を減らすことが可能です。また、強度があるため、ゴムや樹脂に入れて強化するのにも用いられています。

環境調和型カーボン素材の開発

環境問題への関心の高まりと共に、リサイクル可能なカーボン素材や、持続可能な製造プロセスを用いた電波吸収体の開発が進められています。

廃棄物から回収したカーボン素材を利用した電波吸収体や、バイオベースのカーボン素材を使用した環境に優しい電波吸収体も登場。持続可能な社会の実現に貢献する材料技術に注目が集まっています。

カーボンを使用した電波吸収体の開発は、多方面にわたり進展しています。通信、防衛、自動車、エレクトロニクスなど、様々な分野での応用が期待されているので、カーボンを使用した電波吸収体に興味がある方はぜひ取扱いのあるメーカーまで問い合わせてみてください。

用途別の電波吸収体メーカーをチェック

なおこのサイトでは、おすすめの電波吸収体メーカーを用途別に紹介しています。特徴や製品例なども掲載しているので、電波吸収体を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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