MENU

用途別
電波吸収体メーカー3選

6Gや自動運転等の
新規格・先端技術開発
用途

について相談するなら

E&Cエンジニアリング
E&Cエンジニアリング公式HPキャプチャ

引用元:E&Cエンジニアリング公式HP https://ece.co.jp/

6G領域の通信端末の評価や、軍事産業でも使える難燃性製品など、新たな製品規格の研究開発に精通

屋外や真空環境での使用など、特殊な用途での電波吸収体の試作や制作についても相談できます。

また、電波暗室の建設についてもノウハウも豊富です。

公式HPで
電波吸収体の
詳しい特徴を見る

電子機器の内部干渉・
輻射EMI等の電磁波ノイズ
抑制用途

について相談するなら

新日本電波吸収体
新日本電波吸収体公式HPキャプチャ

引用元:新日本電波吸収体公式HP https://mwa.co.jp/

電磁波環境トータルソリューションカンパニーとして、暗室用の電波吸収体のほか、磁性シート、電磁波ノイズ抑制シート、シールド材の取り扱いも豊富です。

磁性シートは、高い磁気シールド効果 (µ'=50)を維持しつつ、磁束の減衰を極力無くす構造を実現しています。

車載機器や電子機器産業等の
EMC関連試験
用途

について相談するなら

TDK
TDK公式HPキャプチャ

引用元:TDK公式HP https://www.tdk.com/ja/index.html

EMC試験に関する高い専門性とノウハウから、適切な製品選びや試験環境構築の相談ができます。

電波暗室業界のパイオニア的存在として豊富な施工実績を誇り、先進的な技術を取り入れたEMC試験所も開設

公式HPで
電波吸収体の
詳しい特徴を見る

2024/3/28時点「電波吸収体 メーカー」で調べた際、最終ページまでの検索結果上の公式HPで電波吸収体の取り扱いを確認できたメーカー13社を調査。そのうち、用途別 に複数シリーズの電波吸収体を製造・販売している企業6社から以下の条件により3社を選定。
・E&Cエンジニアリング:6G帯にも対応できる電波吸収体の自社製造を行っている
・新日本電波吸収体:電磁波ノイズ抑制製品について最も多くのラインナップがある
・TDK:国際基準を満たしたEMC試験所を開設し、車載機器のEMC測定の試験所認定を取得している

6Gや自動運転等の
新規格・先端技術開発用途
について相談するなら

E&Cエンジニアリング

E&Cエンジニアリング公式HPキャプチャ

引用元:E&Cエンジニアリング公式HP https://ece.co.jp/

対応領域が広い
豊富な電波吸収体を用意

E&Cエンジニアリングは、6G領域の通信端末や先端技術開発に関わる業界などで使用される電波吸収体を取り扱っている貴重なメーカーです(2023年12月1日時点)。

電波吸収体の対応領域は、数十メガヘルツ~テラヘルツ領域までと広範囲をカバー。屋外暴露用や歩行路用といった特殊な用途の電波吸収体の相談にも対応。公式HPのラインナップは一部に限られていますが、6G以外にも多種多様な電波吸収体が用意されており、ラインナップが豊富です。

また、電波暗室の建設についてのノウハウを有しており、計測装置の提案・提供や暗室のカスタマイズ等のコンサルティングまでできる強みがあります。

E&Cエンジニアリングの
電波吸収体

ECCOSORB® AN
ECCOSORB® AN商品画像

引用元:E&Cエンジニアリング公式HP https://ece.co.jp/products/absorber/an.html

◆主用途:電波暗室等
◆周波数帯:0.6GHz-50GHz
ECCOSORB ANは、軽量で柔軟なシート状電波吸収体です。簡単に接着や掛けることができます。レーダーアンテナナセル、電波暗室、アンテナ台などに使用されます。 正常の入射角に対して反射係数は1%以下。0.6GHz~50GHzの広範囲をカバーします。

ECCOSORB® VHP
ECCOSORB® VHP商品画像

引用元:E&Cエンジニアリング公式HP https://ece.co.jp/products/absorber/vhp.html

◆主用途:電波暗室(電波無響室)等
◆周波数帯:200MHz-24GHz
ECCOSORB VHPは、広範囲の入射角で高性能かつ広帯域の軽量パネル型電波吸収体です。ピラミッド型のためインピーダンス整合が良く、反射を効果的に削減。発泡ポリウレタンが基材で、軽量かつ屈曲性に優れ、電波暗室の天井面・壁面への装着に適しています。

EC-SORB® ECP-3
EC-SORB® ECP-3商品画像

引用元:E&Cエンジニアリング公式HP https://ece.co.jp/products/absorber/ecp3.html

◆主用途:電波暗室(電波無響室)等
◆周波数帯:3GHz-100GHz
EC-SORB ECP-3は、ミリ波帯で優れた吸収性能を発揮するピラミダル電波吸収体です。110GHzにおいても高い吸収性能を示し、広い帯域で50dBの吸収性能を維持します。耐久性が高く、軽量で屈曲性に優れ、ベルクロジッパーで簡単に着脱可能です。

E&Cエンジニアリング公式サイトで
製品ラインナップを見る

E&Cエンジニアリングの会社概要

社名 E&Cエンジニアリング株式会社
本社所在地 神奈川県横浜市港北区新横浜3-18-3 新横浜KSビル7F
電話番号 045-471-4791
URL https://ece.co.jp/

E&Cエンジニアリング公式サイトで
詳しい情報を見る

電子機器の内部干渉・
輻射EMI等の電磁波ノイズ抑制用途
について相談するなら

新日本電波吸収体

新日本電波吸収体公式HPキャプチャ

引用元:新日本電波吸収体公式HP https://mwa.co.jp/

通信環境に応じた
電波対策を実現
新日本電波吸収体は、薄型かつ軽量化で扱いやすい電波吸収体を取り揃えています。

電磁波ノイズ抑制シートや電磁波シールド材を取り扱っていることも特徴です。

また、2017年にはタケチと共同で、車のミリ波レーダー向けの大豆の皮を使った薄型電波吸収シートを開発しました。通信環境に応じた提案・施工も行っており、耐候性の高い製品は屋外設置にも適しています。

新日本電波吸収体の
電波吸収体

高周波電波吸収シート
電波吸収シート商品画像

引用元:新日本電波吸収体公式HP https://mwa.co.jp/

◆主用途:レーダー近接金属構造物等
◆周波数帯:2.45・5.8・10・24・28・76.5GHz
高周波電波吸収シートは、製品により対応周波数が異なります。狭帯域用・広帯域用どちらにも対応。シリコーンを使っており、薄いシート状で加工がしやすく、取付しやすいことが特徴です。斜め入射角の電波吸収性能が高いです。

電磁波ノイズ抑制シート
電磁波ノイズ抑制シート商品画像

引用元:新日本電波吸収体公式HP https://mwa.co.jp/

◆主用途:CPUの放射ノイズ抑制等
◆周波数帯:10MHz~6GHz
ノイズ抑制シートは高い透磁率を持つ軟磁性材料の扁平粉を樹脂内に配列し、粉末間を電気的に隔離した構造で、電磁干渉を抑えます。このシートを配置することで、高周波ノイズを減衰させ、二次輻射や信号劣化を防ぎ、不要輻射を効果的に抑制します。

NFC-RFID 磁性シート
NFC-RFID 磁性シート商品画像

引用元:新日本電波吸収体公式HP https://mwa.co.jp/product/pro04_01.html

◆主用途:スマートフォン搭載等
◆周波数:13.56MHz、530kHz、135kHz
NFC-RFIDシステムはSuicaやPASMOなどの交通系ICカードや電子マネーに採用され普及。金属に近接する場合の通信障害を防ぐため、磁気シールドを用いる方法が開発されました。MS-E200シリーズは高い磁気シールド効果を持ち、HF-RFIDで広く採用されています。

新日本電波吸収体公式サイトで
製品ラインナップを見る

新日本電波吸収体の会社概要

社名 株式会社新日本電波吸収体
本社所在地 東京都台東区浅草橋5-4-5 ハシモトビル 806
電話番号 03-5825-1255(法人専用)
URL https://mwa.co.jp/

新日本電波吸収体公式サイトで
詳しい情報を見る

車載機器や電子機器産業等の
EMC関連試験用途
について相談するなら

TDK

TDK公式HPキャプチャ画像

引用元:TDK公式HP https://www.tdk.com/ja/index.html

測定から評価までを
ワンストップで提供できる

TDKは、日本VLACと米国A2LAの認定(※)を受けた国際的に評価されているEMC試験所を運営しています。EMC測定から評価までワンストップで行えるサービスを提供しており、EMC試験に関する知見が豊富です。

無線LANやITS向けの電波吸収体も製造・販売しており、製品選びについて相談することができます。また、電波暗室業界のパイオニア的存在として、累計1,200基以上の施工実績(2024年4月25日調査時点)があり、既存電波暗室の補修やメンテナンスも対応しています。

※参照元:TDK公式HP https://product.tdk.com/ja/technicalsupport/emctest/outline.html

TDKの電波吸収体

公式HP上に製品情報がありませんでした。詳しくはTDKのカタログをご覧ください。

TDK公式サイトで
製品カタログを確認する

TDKの会社概要

社名 TDK株式会社
本社所在地 東京都中央区日本橋2-5-1
電話番号 03-6778-1000
URL https://www.tdk.com/ja/index.html

TDK公式サイトで
詳しい情報を見る

電波吸収体メーカーリスト

E&Cエンジニアリング

電波吸収体の総合メーカー。電波吸収体は、6G領域の通信端末や先端技術開発に関わる業界など使用されています。

休日・営業時間 公式サイトに記載ありませんでした
所在地 神奈川県横浜市港北区新横浜3-18-3 新横浜KSビル7F
電話番号 045-471-4791
公式URL https://ece.co.jp/

テイエスエスジャパン

RF関係製品のワンストップ・ソリューション企業として、電波吸収体や電波暗室などを取り扱っています。

休日・営業時間 公式サイトに記載ありませんでした
所在地 東京都町田市南成瀬1-8-12 中山ビル3-A
電話番号 042-851-3901
公式URL https://www.tssj.co.jp/

TDK

電波暗室の実績が豊富な総合電子部品メーカー。自社開発の高性能電波吸収体を使用した試験所を設置しています。

休日・営業時間 公式サイトに記載ありませんでした
所在地 東京都中央区日本橋2-5-1
電話番号 03-6778-1000
公式URL https://www.tdk.com/ja/index.html

テクノサイエンスシステムズ

テクノサイエンスジャパンの子会社。電波暗室や電磁波シールドルームなど電磁波に関するさまざまな業務を行っています。

休日・営業時間 公式サイトに記載ありませんでした
所在地 神奈川県川崎市高津区子母口398
電話番号 044-750-0990
公式URL https://tsscorp.co.jp/

マイクロウェーブファクトリー

コーンズグループのグループ会社であり、電波のトータルソリューションカンパニー。電波吸収体を組み合わせた複合タイプにも対応。

休日・営業時間 公式サイトに記載ありませんでした
所在地 神奈川県横浜市港北区新横浜3-18-3 新横浜KSビル7F
電話番号 045-594-6639
公式URL https://www.mwf.co.jp/

マイクロニクス

電子計測器や高周波関連機器を提供している開発型企業。自社ブランド「MICRONIX」があります。

休日・営業時間 営業時間:平日 午前9時~午後5時
所在地 神奈川県相模原市中央区清新3-10-18
電話番号 042-637-3667
公式URL https://micronix-jp.com/

新日本電波吸収体

ミリ波レーダー向けの大豆の皮を使った電波吸着シートの開発した企業。広帯域・狭帯域の電波吸収体を取り扱っています。

休日・営業時間 土曜、日曜・9:00~17:00
所在地 東京都台東区浅草橋5-4-5 ハシモトビル 806
電話番号 03-5825-1255法人専用
公式URL https://mwa.co.jp/

東北化工

車載機器電波暗室用の電波吸収体などを取り扱っているメーカーです。電波吸収体を組み合せて反射減衰量を確保する提案も行っています。

休日・営業時間 公式サイトに記載ありませんでした
所在地 栃木県那須烏山市藤田1200
電話番号 0287-88-2761(代)
公式URL http://www.tci-web.co.jp/

アクセス

特殊な素材を用いたものや、高い電力の電波を吸収できる電波吸収体を取り扱っています。

休日・営業時間 公式サイトに記載ありませんでした
所在地 神奈川県厚木市船子152
電話番号 046-220-5110
公式URL http://access-d.co.jp/

東京計器アビエーション

小ロットで提供できるフェライト電波吸収体の取り扱いがあります。EMC環境計測やコンサルティングも行っています。

休日・営業時間 公式サイトに記載ありませんでした
所在地 埼玉県飯能市美杉台2-1-1
電話番号 042-971-0550(代表)
公式URL https://www.tokyokeiki.jp/link/tka/

MVG

1年に25カ国、660件の顧客(2024年4月25日調査時点)に貢献している会社です。世界各地に拠点があります。

休日・営業時間 公式サイトに記載ありませんでした
所在地 神奈川県川崎市中原区下小田中2-10-32 コンフォール武蔵中原101
電話番号 +81 449489301
公式URL https://www.mvg-world.com/ja

電波吸収体の原理の比較

電波吸収体は、利用する物理現象によって主に3つの種類に分類されます。それぞれ作用する電波の成分や使用材料が異なり、吸収したい周波数帯や用途に応じて、これらの原理が単独または複合的に用いられます。

抵抗損失(導電性損失)

材料に配合されたカーボンなどの導電性粒子が、電波のエネルギーによって内部に微弱な電流を発生させます。

この電流が粒子の持つ電気抵抗によりジュール熱に変換されることで、電波を吸収する最も直感的な原理です。

誘電損失

電波が持つ電場の周期的な変化を利用します。材料に含まれる電気的双極子を持つ分子が、電場の変化に合わせて高速で振動・回転します。

このときの分子間の摩擦が熱エネルギーとなり、電波を吸収します。電子レンジが食品を温める原理と類似しています。

磁性損失

電波が持つ磁場の変化を利用する原理です。フェライトのような磁性体粒子を材料に含ませ、電波の磁場によって粒子の磁極を高速で変化させます。

高周波領域では、この変化が追いつかなくなりエネルギーロス(自然共鳴)が生じます。この損失分が熱に変換され、電波を吸収します。

各原理の比較

項目 抵抗損失(導電性損失) 誘電損失 磁性損失
作用する電波の成分 電波のエネルギー 電場 磁場
主な材料例 カーボン粒子 チタン酸バリウムなど 軟磁性フェライトなど
エネルギー変換の仕組み ジュール熱(電流と抵抗) 分子間の摩擦熱 自然共鳴による損失

電波吸収体の素材比較

5G通信の普及、自動運転技術(ADAS)の高度化など、私たちの社会はますます多くの電波を利用するようになっています。それに伴い、電子機器の誤作動や通信品質の低下を防ぐため、不要な電波を吸収する「電波吸収体」の役割が極めて重要になっています。

電波吸収体には様々な素材が使われており、それぞれに異なる特性があります。ここでは、代表的な5つの素材「ウレタン」「シリコン」「ゴム」「セメント」「フェライト」を取り上げ、その原理や特徴、主な用途を比較・解説します。

ウレタン

原理と特徴

  • カーボン粒子が電波を熱に変換して吸収(誘電損失)。
  • 軽量でカッターでも加工が容易。
  • コストパフォーマンスが高く、大量生産向き。
  • ピラミッド型やシート状など形状が多彩。

主な用途

電波暗室の壁面を覆う吸収体として、精密な電波測定環境を構築するのに不可欠。

シリコン

原理と特徴

  • 磁性粉末が電波を熱に変換して吸収(磁気損失)。
  • 優れた耐熱性・耐候性(〜200℃)。
  • アウトガス(発生ガス)が極めて少ない。
  • 柔軟なシート状製品が主流。

主な用途

自動車のミリ波レーダー周辺で不要な電波反射を抑制し、ADASの精度を確保する。

ゴム

原理と特徴

  • 加工性と耐久性のバランスが取れた物性。
  • 使用ゴムにより特性を調整可能(耐油性、耐候性など)。
  • ウレタンとシリコンの中間的な性能とコスト。

主な用途

電子機器の隙間に使われるEMCガスケットとして、電波の漏洩と内部反射を同時に防ぐ。

セメント

原理と特徴

  • 建材自体が電波吸収機能を持つ。
  • コンクリート本来の高い耐久性、耐火性、耐候性。
  • 後付け不要で、建物の設計自由度が高い。

主な用途

高層ビルの外壁に採用し、テレビ電波の反射によるゴースト障害を対策する。

フェライト

原理と特徴

  • 材料固有の「磁気共鳴」で強力に電波を吸収。
  • 低い周波数帯(〜1GHz)で特に高い性能。
  • 数mm厚のタイル状でも効果が高く、薄型化が可能。
  • 硬質で耐久性に優れる。

主な用途

電波暗室でウレタンと組み合わせるハイブリッド暗室や、ケーブルのノイズを除去するフェライトコア

5つの素材の比較表

特徴・パラメータ ウレタン系 シリコン系 ゴム系 セメント系 フェライト系
主たる吸収原理 誘電損失 磁気損失 誘電損失 or 磁気損失 誘電損失 磁気損失(共鳴)
得意な周波数 広帯域(主にGHz帯) 高周波(GHz~ミリ波) 中周波(MHz~GHz) 用途による 低周波(30MHz~1GHz)
柔軟性 高い(フォーム) 非常に高い(シート) 高い(シート) 無し(硬質・構造体) 無し(脆性タイル)
耐熱性 中程度(約80℃) 非常に優れる(約200℃) 種類による 高い 高い
重量 軽量 中程度 中程度 重い 重い
主な製品形態 ピラミッド、シート 薄型シート シート、ガスケット 構造パネル、ブロック タイル、コア
代表的な用途 電波暗室 車載レーダー、5G通信 工業用ガスケット 建築物(ビル、橋梁) 低周波暗室、ケーブルコア
キーワード 軽量・安価・加工性 耐熱・耐候・高周波 バランス・多様性 建材一体型・高耐久 薄型・低周波特化

電波吸収体の形状比較

電波吸収体は、その形状によって電磁波の吸収性能や最適な用途が大きく異なります。形状は単なるデザインではなく、電波を効率的に吸収するための物理的な仕組みそのものです。

ここでは、代表的な5つの形状(ピラミッド型、シート型、ウェッジ型、歩行路型、液体型)を取り上げ、それぞれの特徴、原理、そしてどのような場面で活躍するのかを比較・解説します。

ピラミッド型

ピラミッド型広帯域電波吸収体商品画像

画像引用元:E&Cエンジニアリング公式HP https://ece.co.jp/products/absorber/vhp.html

ピラミッド型は、電波暗室で最も広く使用される、象徴的な形状の電波吸収体です。その最大の強みは、数十MHzの低い周波数から数十GHzのマイクロ波領域まで、非常に広い帯域にわたって優れた吸収性能を発揮する点にあります。

原理と役割

ピラミッドの円錐状の形状は、空気(自由空間)と吸収体材料との間でインピーダンスが急激に変化することを防ぐための、物理的な整合層として機能します。入射した電波は、先端が細く根元に向かって太くなる構造に沿って進むにつれて、徐々に吸収材料の影響を強く受けるようになります。この「段階的インピーダンス整合」により、表面での反射が最小限に抑えられ、電波は効率的に吸収体の内部へと導かれます。内部では、材料に含まれるカーボン粒子などが抵抗として働き、電波エネルギーを熱に変換して消散させます。

一般的に、吸収体の高さが高いほど、より波長の長い低周波の電波まで効果的に吸収できます。そのため、高性能な電波暗室では人の背丈を超えるような巨大なピラミッド型吸収体が壁一面に設置されます。

主な用途

  • EMC(電磁両立性)試験用電波暗室
  • アンテナ性能評価用電波暗室
  • レーダー反射断面積(RCS)測定施設

シート型

シート型電波吸収体「Sシリーズ」の画像

画像引用元:アクセス公式HP http://access-d.co.jp/products/s.html

シート型は、その名の通り薄く柔軟なシート状の電波吸収体です。スペースに制約がある場所や、曲面への貼り付けが必要な場合に絶大な効果を発揮します。

原理と役割

シート型吸収体の役割は、大きく二つに分けられます。一つは、スマートフォンやPCといった電子機器内部で発生する電磁ノイズの抑制です。この場合、ノイズ源となる磁束を効率的に吸収する磁性材料(軟磁性体の粉末を樹脂に混ぜたものなど)が用いられ、磁気損失によってノイズを熱に変えます。

もう一つは、空間を伝搬する電波の反射を抑える役割です。建物の壁面やETCゲートなどで不要な電波反射を防ぐために使われます。このタイプは、材料の誘電率と透磁率を精密に制御し、空間のインピーダンスと整合させることで、表面反射を抑え、内部でエネルギーを吸収します。

主な用途

  • 電子機器(スマートフォン、PC等)内部のノイズ対策
  • NFC/RFIDアンテナの性能改善
  • 高層ビル壁面でのテレビ電波反射対策
  • ETCゲートでの不要反射抑制

ウェッジ型

テーパー型電波暗室用のウェッジ型電波吸収体商品画像

画像引用元:E&Cエンジニアリング公式HP https://ece.co.jp/products/absorber/wg.html

ウェッジ(Wedge)型は「くさび」を意味し、ピラミッド型に似ていますが、より長く伸びた形状が特徴です。これは、特定の入射角の電波に対して最適化された特殊な吸収体です。

原理と役割

ウェッジ型は、主に「テーパー型電波暗室」という特殊な施設のテーパー(先細り)部分で使われます。この施設では、送信アンテナからの電波が壁面に沿って平行に進む成分(導波モード)が発生します。ウェッジ型吸収体は、この壁と平行に進む電波を効率的に捉えて減衰させることに特化しています。これにより、測定空間にはアンテナからの直接波だけから成る、乱れの少ない理想的な電波環境を作り出すことができます。ピラミッド型とは役割が異なり、特定の環境下で代替不可能な機能を担います。

主な用途

  • テーパー型電波暗室のテーパー部分専用

歩行路型

歩行路用電波吸収体商品画像

画像引用元:E&Cエンジニアリング公式HP https://ece.co.jp/products/absorber/fl.html

歩行路型は、人が上を歩いたり、測定機器を設置したりできるよう、高い機械的強度を持たせた特殊な電波吸収体です。主に電波暗室の床面に設置されます。

原理と役割

基本的な構造は、ピラミッド型吸収体の谷間の部分を、荷重を支えることができる硬質の低損失材料(発泡ポリプロピレンなど)で埋めた複合構造です。これにより、電波吸収性能を維持しつつ、平坦で安全な歩行・作業スペースを確保します。さらに、表面には帯電防止処理が施されていることが多く、静電気による測定機器や試験対象物(EUT)の破壊を防ぐという重要な役割も担っています。RF吸収性能、機械的強度、ESD保護という、複数の要求を同時に満たすように設計された高度な複合材料システムです。

主な用途

  • 電波暗室の床面(歩行路、作業エリア)

液体型

液体型のミリ波吸収体商品画像

画像引用元:東京応化工業公式HP https://www.tok.co.jp/products/newfield/mmwaveabsorber

液体型は、流動的な性質を持つ電波吸収体です。これにより、固体の吸収体では難しいユニークな応用が可能になります。

原理と役割

液体型には、大きく分けて二つのタイプが存在します。一つは「キャスタブル(注型可能)樹脂」です。これは、使用前は液体ですが、硬化剤と混ぜて型に流し込み、特定の形状の固体の吸収体を作るための材料です。導波管の終端器など、カスタム形状の部品を隙間なく作るのに適しています。

もう一つは、現在も研究開発が進む「機能性流体」です。これは動作中も液体のままであり、例えば水の分子がマイクロ波によって振動する際の損失(電子レンジの原理)を利用したり、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を液体に分散させ、その相互作用で電波を吸収したりします。将来的には、外部からの刺激で吸収特性を動的に変化させられるチューナブルな吸収体への応用が期待されています。

主な用途

  • (キャスタブル樹脂)カスタム形状の導波管終端器や減衰器の成形
  • (機能性流体)可変メタマテリアル、医療応用など研究開発段階

5つの電波吸収体の形状別比較

吸収体タイプ 主な特徴 主要吸収原理 代表的な材料 主な用途
ピラミッド型 優れた広帯域性能、汎用性が高い 段階的インピーダンス整合、誘電損失 カーボン含浸ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム EMC/アンテナ測定用電波暗室、RCS測定
シート型 薄型、柔軟、軽量で施工が容易 磁気損失(近傍界)、インピーダンス整合(遠方界) 磁性粒子分散ポリマー、焼結フェライト、セラミックス 機器内ノイズ対策、建築・インフラの電波反射対策
ウェッジ型 壁面と平行に入射する電波に特化 導波モードの減衰、誘電損失 カーボン含浸ウレタンフォーム テーパー型電波暗室のテーパー部専用
歩行路型 高い機械的強度、歩行可能、ESD対策機能 インピーダンス整合(複合構造)、誘電損失 吸収フォーム + 硬質充填材(発泡PP)、帯電防止材 電波暗室の床面(歩行路、作業エリア)
液体型 形状適合性(キャスタブル)、動的制御の可能性(機能性流体) バルク吸収(キャスタブル)、分子緩和・ナノ粒子損失(機能性流体) 損失材充填エポキシ/シリコーン、水、ナノ粒子懸濁液 カスタム部品成形、研究開発(メタマテリアル、医療応用など)

電波吸収体を使用するにあたっての
基礎知識

イメージ画像

電波吸収体は、電波干渉対策・電波暗室・電磁波シールドなど、様々な用途で活用されています。

長く活用するための手入れ・メンテナンス方法や、寿命、相場価格など、電波吸収体に関する知っておきたい基礎知識を紹介します。

用途別電波吸収体特集