用途に合わせた電波吸収体が見つかる「電波吸収体ガイド」 » 電波吸収体を使用するにあたっての基礎知識 » テラヘルツ帯に対応する電波吸収体の開発

テラヘルツ帯に対応する電波吸収体の開発

テラヘルツ帯は5Gの約10倍以上の超高速無線を実現する手段として注目されており、通信・イメージングシステム・セキュリティ分野などでの応用が期待されています。

ただし、電波と光波の中間にあることから検出が困難であるため、テラヘルツ波自体の利用が難しいといわれてきました。

そんなテラヘルツ帯に対応する電波吸収体を開発するには、以下の内容を押さえておく必要があります。

材料の選定と設計

テラヘルツ帯の周波数で高い電波吸収性能を実現するなら、電磁波の吸収・錯乱のバランスをとる必要があり、適した材料を選定しなければなりません。テラヘルツ波は電波として周波数が高すぎるため検出感度が悪く、測定には大出力のテラヘルツを発生する必要があり、扱いにくいというイメージが浸透していました。

しかし、技術開発が進められ、グラフェンやカーボンナノチューブなどの素材を使用して、広帯域の分光測定が可能になり、室温利用できるテラヘルツ波検出器も開発されました。

六員環構造を持つグラフェンなどは電子の質量が理論的にゼロの素材のため、他材料と比べて非常に高速で極めて大きなエネルギーを放出できます。電波吸収体にも使えます。

また、カーボンナノチューブはナノチューブの向きにテラヘルツ波の振動があると検知しますが、垂直方向の振動は検知しないという特性があります。このように材料の性質を活かした研究開発を進める必要があるでしょう。

性能適正化

テラヘルツ帯を活用するには高い周波数を大出力しなければならないため、広範囲の周波数帯にわたる吸収性能を持つ材料の開発が求められます。

テラヘルツ波を吸収させるには、熱エネルギーへの素早い変換、高い吸収率と高速な温度上昇が必要です。高い測定精度や高速応答性を持たせるには、軽量かつ高い吸収率を実現することが望まれます。

製造技術の革新

テラヘルツ波は高い周波数を高出力する必要があり、電波吸収率・温度上昇速度の改善が課題となっています。

自己組織化やリソグラフィー技術の進展により、テラヘルツ波を高効率・高速に検出する必要があるでしょう。また、大量生産技術の開発やコスト効率の良い製造プロセスが求められます。

応用分野との連携

物理学・材料科学・電子工学など、他分野の専門家と連携し、テラヘルツ帯の電波に対応した電波吸収体の開発を加速させます。応用分野の要求を満たすための性能指標の明確化が必要です。

環境および安全性の考慮

近年人体への影響や環境への配慮が求められており、環境に与える影響を最小限に抑えるためにも、エコフレンドリーな材料の選択や、製造プロセスの環境負荷を低減する技術の開発が求められます。

特に医療やセキュリティ分野での応用を考慮する場合、人体への影響を考慮した安全な材料と設計が必要です。

用途別の電波吸収体メーカーをチェック

なおこのサイトでは、おすすめの電波吸収体メーカーを用途別に紹介しています。特徴や製品例なども掲載しているので、電波吸収体を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

用途別
電波吸収体メーカー3選を見る

用途別
電波吸収体メーカー3選
6Gや自動運転等の
新規格・先端技術開発
用途

について相談するなら
E&Cエンジニアリング
E&Cエンジニアリング公式HPキャプチャ

引用元:E&Cエンジニアリング公式HP https://ece.co.jp/

6G領域の通信端末の評価や、軍事産業でも使える難燃性製品など、新たな製品規格の研究開発に精通

屋外や真空環境での使用など、特殊な用途での電波吸収体の試作や制作についても相談できます。

また、電波暗室の建設についてもノウハウも豊富です。

公式HPで
電波吸収体の
詳しい特徴を見る

電子機器の内部干渉・
輻射EMI等の電磁波ノイズ
抑制用途

について相談するなら
新日本電波吸収体
新日本電波吸収体公式HPキャプチャ

引用元:新日本電波吸収体公式HP https://mwa.co.jp/

電磁波環境トータルソリューションカンパニーとして、暗室用の電波吸収体のほか、磁性シート、電磁波ノイズ抑制シート、シールド材の取り扱いも豊富です。

磁性シートは、高い磁気シールド効果 (µ'=50)を維持しつつ、磁束の減衰を極力無くす構造を実現しています。

車載機器や電子機器産業等の
EMC関連試験
用途

について相談するなら
TDK
TDK公式HPキャプチャ

引用元:TDK公式HP https://www.tdk.com/ja/index.html

EMC試験に関する高い専門性とノウハウから、適切な製品選びや試験環境構築の相談ができます。

電波暗室業界のパイオニア的存在として豊富な施工実績を誇り、先進的な技術を取り入れたEMC試験所も開設

公式HPで
電波吸収体の
詳しい特徴を見る

2024/3/28時点「電波吸収体 メーカー」で調べた際、最終ページまでの検索結果上の公式HPで電波吸収体の取り扱いを確認できたメーカー13社13社を調査。そのうち、用途別 に複数シリーズの電波吸収体を製造・販売している企業6社から以下の条件により3社を選定。
・E&Cエンジニアリング:6G帯にも対応できる電波吸収体の自社製造を行っている
・新日本電波吸収体:電磁波ノイズ抑制製品について最も多くのラインナップがある
・TDK:国際基準を満たしたEMC試験所を開設し、車載機器のEMC測定の試験所認定を取得している