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ノイズ障害とは

そもそもノイズとは

ノイズとは、特に電気通信の分野で使われることが多い「不要な音や情報」を意味する英語です。音声の場合は雑音を意味しており、映像の場合は電波障害による画面の乱れを指します。

ノイズは大きくわけて4種類。自然ノイズ・人工ノイズ・伝導ノイズ・放射ノイズがあります。

自然ノイズ

雷による放電や磁気嵐、宇宙線などの自然現象が発生源となるノイズです。代表的な自然ノイズとして、雷が発生した際に発生する通信障害が挙げられます。

人工ノイズ

電子機器が発生源となるノイズを、人工ノイズと呼びます。発生源となる電子機器は、主に3種類あります。

電波を発生するように作られているものの例

機器の回路の電磁エネルギーが漏れ出すものの例

使用中に副次的に発生するものの例

伝導ノイズ

電源や信号のケーブル、回路の配線、プリント基板のパターンなどを通して、電流や信号と一緒に伝わるノイズです。電流や信号と相乗りして侵入してくるため、ノイズだけを分離して取り除くのは難しくなります。

放射ノイズ

空中に放射されるノイズを、放射ノイズと呼びます。たとえば、回路の配線や信号のケーブルに電流が流れていれば、どうしてもその配線やケーブルがアンテナの役割を果たしてしまい、電磁波が放射されてノイズとなります。ノイズは配線やケーブルでつながれてはいない他の電子機器に空間を伝わって侵入して、ノイズ障害を引き起こします。

ノイズはなぜ発生するのか

ノイズの発生源

ノイズの発生源は、主に信号・電源・サージの3つに分けられます。

信号

信号を発生源とするノイズは、信号を伝える配線やケーブル(信号線)から発生します。信号線に電流が流れると、その電流は周囲に電磁界を作り出して、電流が変化するとその変化分が電磁波として放射されてノイズになるのです。

一般に電流の周波数が高いほど強い電波が放射されます。電子機器が高性能になり、扱う情報量を増やすために信号の周波数が高くなるほど、ノイズ障害が生じやすくなります。

電源

電源を発生源とするノイズの代表例は、接点ノイズとスイッチングノイズです。接点ノイズとは電源の電流をスイッチで断続する際に発生するノイズのこと。スイッチングノイズは半導体で電流を断続する「スイッチング電源」で発生するノイズを意味します。

サージ

サージとは、電子回路に侵入することにより発生するノイズのこと。代表的なサージは、スイッチの断続や静電気、雷などの意図しない過渡的な電圧や電流などです。

サージの電圧・電流は、電子回路に通常発生するものより桁違いに大きいため、回路を誤作動させるばかりか、破壊することもあります。

ノイズ対策が不十分な場合のデメリット

ノイズによってラジオが通信障害を起こすのを経験したことがある人も多いでしょう。飛行機の中や心臓ペースメーカーの近くでスマートフォンを使ってはいけないとされるのは、スマートフォンから放出される電波が、精密機器を誤作動させる可能性があるからです。

近年では自動車にナビゲーションシステムやマルチメディア機器、キーレスエントリーシステム、ボディ制御システム、走行システムなど、多くの車載機器が搭載されるようになっています。これら車載機器から発生するノイズが互いに影響を及ぼし合うことで、機器が誤作動を起こす場合があります。報告の多い事例として、デジタルの速度計が狂う、エアバックが誤爆するなどの誤作動が挙げられます。

これから自動運転が普及すると、機器の誤作動が人命にかかわる事故につながる可能性も高くなるでしょう。

ノイズ対策が不十分な場合、重大・深刻な事故を発生させてしまう恐れがあるため、電子機器のノイズ対策は欠かすことができないものなのです。

EMCに関する事故事例

電子機器のノイズは、他の電子機器にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。ノイズ対策が不十分な場合には、電子機器の誤作動によって事故が起こることもあります。ここでは電子機器のノイズによる事故の過去の事例を紹介します。

制御回路の誤作動でエレベータに挟まれて死亡した事例

東京都港区のマンションのエレベータから自転車を引きながら降りようとしていた高校2年生が、扉が閉まらないまま突然上昇を始めたエレベータの床と、マンション廊下の天井に挟まれて死亡しました。事故後の調査により、エレベータの制御回路が電磁ノイズに極めて弱いことが判明。出荷時のノイズ対策が不十分だったため、エレベータの制御回路が誤作動したと考えられます。

ゲームセンターの電磁ノイズで列車無線が交信不能になった事例

大阪府堺市にある私鉄の駅で、列車無線に交信ができなくなるほどの雑音が生じました。調査により、この雑音の原因は20メートルほど離れたところにあるゲームセンターのゲーム機から漏れ出した電磁ノイズであることがわかりました。

モノレールがホームで停止せず暴走した事例

モノレールのモーターが、運転士は停止させているはずなのに、突然作動を始めて止まらなくなりました。非常ブレーキを作動させても止められずにモノレールは暴走。停止すべきホームを過ぎて、その先の分岐器に衝突してようやく止まりました。

止まったのは対向列車の19メートル手前。あわや大惨事の可能性もありました。調査により、電源装置の高周波ノイズがモーターの制御装置に侵入して、制御装置が誤作動を起こしたことが原因と判明しました。

大学での電波暗室事例を見てみる

電波暗室メーカーの選び方と
オススメ企業3選

電波暗室を導入するにあたって最初に考えるべきなのは、購入にするかレンタルにするかということ。電波暗室の施工には5,000万~10億円という規模の予算が必要となります。購入となった場合は、計測システムを持っているかどうかで選ぶべき企業が変わってくる点にも注意が必要です。

自社の状況別に3つの企業を紹介していますので、ぜひ参考になさってください。

電波暗室を初めて導入/
計測システムから刷新するなら

電波暗室+計測システムを
導入すべし

電波暗室の利用には“計測システム”が必須。初めて電波暗室を導入する企業や、新しい周波数帯の製品開発などで計測システムごと刷新する企業であれば、それらをまとめて提供してくれる、コストメリットの高いメーカーがオススメ。
同じメーカーで揃えることで、
当然、使いやすさにも期待できます。

マイクロウェーブ
ファクトリー株式会社
マイクロウェーブ ファクトリー株式会社公式HP

引用元:マイクロウェーブ ファクトリー公式HP
(https://www.mwf.co.jp/)

公式HPで
電波暗室の
特徴を見る

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今ある電波暗室を
増室したいなら

実績の多いメーカーで
電波暗室だけを
導入すべし

すでにR&Dの際などに電波暗室と計測システムを導入した経験があり、製品化にあたって電波暗室だけを増設したいような企業であれば、計測システム同時提供によるメリットは不要。既存のメーカーの製品保守やメンテナンスに対応しており、施工実績も豊富なメーカーを選ぶと安心です。

TDK株式会社
TDK株式会社公式HP

引用元:TDK公式HP
(https://www.tdk.com/ja/index.html)

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購入するほどの
費用帯効果を見込めないなら

レンタル利用にすべし

億単位の金額を使うほどの規模で生産しない場合や、予算を確保できない場合、とりあえず電波法を順守しているかの試験をしたい場合等は、レンタル利用を検討します。
その際は、EMC試験だけでなく、アンテナ計測にも対応しているかといった点を確認し、より設備の整った企業に依頼すべきです。

テュフラインランド
ジャパン
株式会社
テュフラインランドジャパン株式会社公式HP

引用元:テュフラインランドジャパン公式HP
(https://www.tuv.com/japan/jp/)

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【選定条件】Google検索「電波暗室」で表示された上位22社を調査(2022年3月11日時点)。それぞれ以下の条件で選定。
・電波暗室を初めて導入するなら:唯一、グループ会社内で電波暗室と計測システムの両方を提供している企業
・今ある電波暗室を増室したいなら:既存の電波暗室の補修やメンテナンスに対応しており、なおかつ公式HPに掲載されている電波暗室の施工実績数が一番多い企業(累計1,200基)(2022年3月調査時点)
・購入するほどの費用帯効果を見込めないなら:電波暗室のレンタルを行っている企業の中で、唯一アンテナ計測、EMCの両方のレンタルが可能