電波暗室を導入して電波を使おうとした場合、必ず電波法についてしっかりと理解した上で法律の定めに則って電波の利用を検討しなければなりません。このページでは、電波法の概要や違反した際の罰則、また電波暗室との関係について解説しています。
電波法とは、国内における電波の効率的な利用や公共的な利用を円滑化するために定められている法律であり、電波を利用する事業者は必ず電波法の定めに従って電波を取り扱わなければなりません。
また電波法は定期的に法改正が行われており、例えば以前は合法であった内容が現行法では違法になっているといったケースが珍しくないことも重要です。
なお電波法は様々な要素で構成されており、特に以下の3つのテーマについては必ず理解しておきましょう。
無線局を開設する際には電波法の定めに遵守しなければならず、電波法第4条によって無線局の開設には総務大臣の許可が必要となります。なお、許可審査をパスすれば電波利用に関する免許を取得することができますが、免許は一定期間ごとの更新が必要です。
電波法第38条と総務省令(無線設備規則)によって、電波の混信や妨害が発生しないよう、無線設備についても一定の技術基準などが定められています。なお、これらの基準をクリアしている無線機器などは「技適マーク」が付与されているため、マークのない設備を使用することはできません。
無線設備を使って通信操作や監視を行う無線従事者についても、免許や資格の取得が電波法によって義務づけられています。
上述したように、電波を使用する場合はあらかじめ目的や内容に合致した手続きや申請を行い、許可審査に合格して免許や資格を取得しなければなりません。
また、一定期間ごとの更新が必要になる免許の場合、必ず適切な更新を行わなければならず、更新をしないまま電波を使用した場合は電波法違反となります。なお、免許の更新時に電波法が改正されている場合、以前の内容では資格が認められない可能性がある点にも留意してください。
電波法が定める技術基準に合致して、技適マークを付与された機器や設備を使用することが必要です。また販売業者に関しても、技適マークが付与されていない電波機器を販売すると電波法違反になり得るため、注意しなければなりません。
加えて無線設備の工事や定期検査についても電波法の定めを守ることが必要です。
電波の使用について免許や資格を取得した場合、電波を利用する権利を得られると共に、適正な電波の運用や障害対応についての義務が課せられることも重要です。
そのため、電波の使用者は自己の都合によって電波を使うだけでなく、必要な対策やリスクマネジメントを実施し、公共の福祉に利することを意識しなければなりません。
電波法に違反している場合、その内容や法の定めに従って罰則や処分が科せられる可能性が生じます。
例えば無線局を開設する事業者が技術基準へ不適合な無線設備を利用したり、総務大臣の許可を受けずに無線局を開設したりした場合、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられます。
そのほか、無線設備の製造業者や販売業者、輸入業者は技適マークを付与されていない電波機器を取り扱うことが禁じられており、もし電波法の違反が確認されれば以下のような処分を受ける恐れがある点を覚えておきましょう。
技術基準に不適合な無線設備や機器を取り扱う事業者に対して、適正な運用のために必要な措置を講じるよう勧告がされます。
勧告を受けた事業者が指示に従って是正措置を講じない場合、企業名や商品名などが公表されます。
勧告を受けても問題を是正せず、無線局の適正な運用に悪影響を及ぼす恐れがある場合、措置命令が下されるでしょう。
電波法は電波の運用や電波の取扱者について様々なルールや基準を定めており、当然ながら電波暗室についても電波法の定めに従って導入や使用を遵守しなければなりません。
電波暗室と電波法の関係については、一例として以下のようなルールがあります。
電波暗室などの試験設備において、使用する無線設備単体の電界強度が微弱無線局の許容値を超過する際には、あらかじめ無線局免許が必要です。
なお、試験設備の要件については電波暗室を利用する者が自ら確認し、あらかじめ国や行政によって確認を受ける必要はありません。
電波暗室などの試験設備から、無線局免許を受けていない無線設備を持ち出して使用する場合、電界強度が微弱無線局の許容値を超過している場合は電波法違反となります。
上記のように電波暗室や試験設備については電界強度や微弱無線局の許容値が重要なキーポイントになりますが、現実的に許容値を下回る設備は電波放射の実験や試験において実用性に欠けることを踏まえておきましょう。
電波法を守ることは電波暗室設置の基本です。すでに電波法について詳しい場合はレンタルを使うという手もありますが、初めての電波暗室利用や設置のため、電波法についてあまり詳しくない場合は、メーカーに相談しながら知識を深めていくとよいでしょう。
電波暗室を導入するにあたって最初に考えるべきなのは、購入にするかレンタルにするかということ。電波暗室の施工には5,000万~10億円という規模の予算が必要となります。購入となった場合は、計測システムを持っているかどうかで選ぶべき企業が変わってくる点にも注意が必要です。
自社の状況別に3つの企業を紹介していますので、ぜひ参考になさってください。
電波暗室だけではなく、電波暗室に必須の"計測システム"もまとめて提供してくれる会社。
調整やコミュニケーションの手間が減少し、導入期間の短縮が期待できます。
電波暗室だけを増設したい会社におすすめ。
既存のメーカーの製品保守やメンテナンスにも対応をしており、施工実績も豊富なメーカー(※)です。
大規模な生産をしない場合や、予算確保が困難な場合はレンタルがおすすめ。
EMC試験だけでなく、アンテナ計測など多種多様な試験を行える体制を整えております。
【選定条件】Google検索「電波暗室」で表示された上位22社を調査(2022年3月11日時点)。それぞれ以下の条件で選定。
・電波暗室を初めて導入するなら:唯一、グループ会社内で電波暗室と計測システムの両方を提供している企業
・今ある電波暗室を増室したいなら:既存の電波暗室の補修やメンテナンスに対応しており、なおかつ公式HPに掲載されている電波暗室の施工実績数が一番多い企業(累計1,200基)(2022年3月調査時点)
・購入するほどの費用帯効果を見込めないなら:電波暗室のレンタルを行っている企業の中で、唯一アンテナ計測、EMCの両方のレンタルが可能