電波は通常、人の目に見えないものであり、一般的に電波の量や種類を意識する人は少ないでしょう。しかし電波には利用可能な周波数が限られており、つまり電波は「有限の資源」です。
このページでは電波産業における電波資源の需要や課題についてまとめています。
電波と一口にいってもその種類や活用法は様々であり、例えば船舶の無線やアマチュア無線に使用される電波があれば、携帯電話や警察無線、テレビ放送などに使用される電波もあり、その実態は多種多様です。加えて科学が進歩して電波を使った機器や製品が増えるに従い、電波の利用が促進されて、電波に対する需要が高まっていることも無視できません。
一方、電波は周波数によって特徴が区別されており、周波数の高低によって伝達できる情報の量や届けられる距離、環境からの影響なども異なります。
つまり、無限に存在するかのように思われている電波ですが、実際にはそれぞれの目的に合わせて利用できる電波の種類(周波数)は限られており、必然的に電波は限りある資源(電波資源)として考えなければなりません。
スマートフォンの普及やWi-Fiなどの利用拡大、またドローンといった無線機器の発展など、電波の利用については今後ますますニーズが高まっていくことが予測されています。
かつて1950年代であれば低周波数帯の利用が中心であり、電波にもある程度の余裕がありました。しかし、電気通信業務が民間に開放された1985年以降、通信分野における電波利用ニーズは一気に増大し、現在では日本の総人口よりも携帯電話などの利用契約数が多くなっている実態があります。
電波は無線機器や情報通信システムに不可欠な資源であり、将来的に一層の電波資源の取り合いが激化していくことになるでしょう。また電波需要についての問題は、日本国内だけでなく国際社会としても考えなければなりません。
通信機器や通信システムが発展して、ハイレベルな情報の伝達や大量の情報の通信が当たり前になっている現代において、今後は5GやBeyond 5Gといった技術を使った通信インフラ整備が拡大していき、さらに電波資源に対するニーズが拡大していくことも予測されています。
そのためデジタルビジネス拡大に向けて電波利用の在り方を考えたり、陸海空、そして宇宙空間などにおける電波利用の拡大に備えた対応策が検討されたりと、現在進行形で電波について議論されていることは重要です。
加えて、様々な機器や設備が発展していき、今以上に効率的な電波の運用が必要になった際、既存の周波数から新しい周波数へどのように移行したり再編したりしていくかも検討課題の1つです。また、安心安全に安定した電波を利用できるよう、電波の利用についてのルールの整備や、電磁障害発生といったリスクに対する備えも必要となります。
その他、電波利用に関する料金の制度設計も無視できません。
通信機器や通信システムの高度化・高速化に伴って、電波資源に対する需要が加速度的に高まっている現状に対して、政府は民間と協力して積極的な電波資源拡大に向けた研究開発を行っています。
平成17年度より始まった「電波資源拡大のための研究開発」は、周波数をこれまでよりも効率的に活用する技術の開発や、同じ周波数を異なるシステムにおいて共同利用できるような技術の開発、あるいは高い周波数への移行をスムーズに進めるための技術の開発などが研究されています。
これらの研究開発が具体的に成果を上げていくことで、さらなる情報通信社会において電波資源を効果的に活用しつつ、安定した通信システムの運用を叶えられると期待されることがポイントです。
電波資源拡大に向けて、例えば次のような技術研究開発が行われています。
5Gのような次世代移動通信システムの開発や、Ka帯衛星を使った次世代衛星通信システムの開発、テラヘルツ波を使った超大容量無線LAN伝送技術の開発など、それぞれのテーマにおいて様々な研究開発が進められています。
電波は周波数によって性質が分かれるものであり、条件に応じて利用できる周波数の範囲が限られています。つまり電波は無限に使えるものでなく「限りある資源(電波資源)」であり、情報技術が進化していくにつれて一層に電波産業が発展し、電波資源に対する需要も高まっていきます。
今後、電波産業の需要が高まり電波資源の活用法も広がる中、将来的に自社で電波暗室などの関連設備を保有する会社も珍しくなくなるかも知れません。
電波暗室を導入するにあたって最初に考えるべきなのは、購入にするかレンタルにするかということ。電波暗室の施工には5,000万~10億円という規模の予算が必要となります。購入となった場合は、計測システムを持っているかどうかで選ぶべき企業が変わってくる点にも注意が必要です。
自社の状況別に3つの企業を紹介していますので、ぜひ参考になさってください。
電波暗室+計測システムを
導入すべし
電波暗室の利用には“計測システム”が必須。初めて電波暗室を導入する企業や、新しい周波数帯の製品開発などで計測システムごと刷新する企業であれば、それらをまとめて提供してくれる、コストメリットの高いメーカーがオススメ。
同じメーカーで揃えることで、
当然、使いやすさにも期待できます。
実績の多いメーカーで
電波暗室だけを
導入すべし
すでにR&Dの際などに電波暗室と計測システムを導入した経験があり、製品化にあたって電波暗室だけを増設したいような企業であれば、計測システム同時提供によるメリットは不要。既存のメーカーの製品保守やメンテナンスに対応しており、施工実績も豊富なメーカーを選ぶと安心です。
レンタル利用にすべし
億単位の金額を使うほどの規模で生産しない場合や、予算を確保できない場合、とりあえず電波法を順守しているかの試験をしたい場合等は、レンタル利用を検討します。
その際は、EMC試験だけでなく、アンテナ計測にも対応しているかといった点を確認し、より設備の整った企業に依頼すべきです。
【選定条件】Google検索「電波暗室」で表示された上位22社を調査(2022年3月11日時点)。それぞれ以下の条件で選定。
・電波暗室を初めて導入するなら:唯一、グループ会社内で電波暗室と計測システムの両方を提供している企業
・今ある電波暗室を増室したいなら:既存の電波暗室の補修やメンテナンスに対応しており、なおかつ公式HPに掲載されている電波暗室の施工実績数が一番多い企業(累計1,200基)(2022年3月調査時点)
・購入するほどの費用帯効果を見込めないなら:電波暗室のレンタルを行っている企業の中で、唯一アンテナ計測、EMCの両方のレンタルが可能